ひとたびはポプラに臥す〈3〉 (講談社文庫)



ひとたびはポプラに臥す〈3〉 (講談社文庫)
ひとたびはポプラに臥す〈3〉 (講談社文庫)

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虚しさという結論

著者が、仏教経典の翻訳者であった鳩摩羅什という人物がかつて旅した足跡をそのまま辿った旅行記。

著者は関西人らしく、会話のはしばしにユーモアがちりばめられていて、面白く読める。また、旅の途上で宮本輝が何を考え、何を見たかがストレートに伝わってきて、興味深い。

ただ、1ヶ所、気になる部分があった。著者は、自分が作り出す物語に自分の解釈や説明や理由付けを行ってはならないと書いている。しかし、自分の解釈がない小説など、毒にも薬にもならない。そんな小説に心が動かされるはずはない。小説とは、人生や社会、事件などへの意見、批判、または問題提起となるべきだと私は考える。何らかのメッセージがこめられていない小説など、存在価値がないと思うのである。宮本輝がなぜそんなことをいったのかは分からないが、私の小説観とは意見が異なるようである。

波乱に満ちた旅の最後に、著者はずっと持ち続けていた感情を自覚する。「虚しさ」である。この言葉がすべてを物語っているように思われる。古代の王、ソロモンは言った。「空の空、すべては空」。何を成し遂げようとも、どんなに富があろうとも、結局はすべてが虚しいとこの王は言ったのである。著者が期せずして同じ結論にたどりついたのも、ソロモンの言葉の正しさを表しているのではないだろうか。
ウイグルと中国

シルクロードの旅も佳境に入ってきた観がある。
トルファンから天山山脈に沿ってクチャまでウイグルの地を行く。
ウイグルやモンゴルなんて中国の一部だと思っていたけれど、その民族や風習、まったく異なった国だった。中国は広い。しかし寄せ集めた民族を無理やり縛り付けているようにも感じられた。
しかし羅什の足跡を追う旅のメインスポットともいえるクチャへ来て、筆者が感じたのは幻滅もしくは無関心だったらしい。体力が限界になると、好奇心はなくなるというのはわかるけど。羅什が祈ったであろうキジル千仏洞の話よりも、同行している息子への不満をぶちまけているほうが多い。紀行文ってこれでいいのか?
筆者にとってのシルクロードは、町と町をつないで歴史と文化を追っていくというものではない。それは自分自身の中を旅しているのではないかと感じさせられた。
ファンとしては満足です

小説と違い、旅行記として、宮本輝ファンとしては読みながら、彼の人生の一部、小説のバックグラウンドがにじみ出てくるような気がします。写真も多く、気軽に読めて、私としては満足です。
いまいち

宮本輝氏の旅行記的な作品なので期待して購入したが、いまいち。
他の作品に見られるほどの卓越した描写力が伝わってこないし、あまりにも著者の気分に応じたムラのある作品になっているような気がします。
そのムラが旅行記のよさといえばそうなのかもしれませんが。



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