将校目線の書
著者が軍医少佐ということもあり、洗練された文面で書かれている。
そこがかえって私には読みづらく、前線兵士の回想記のようなリアル感を感じることができなかった。
出色の戦記
数あるNF文庫の中でも、極めて優れた著作の一つであると思う。非凡な文才は、極限状況下における著者の心情への共感を沸々と喚起し、陸軍軍医少佐として戦場でこぶしを握る場面では、こちらも思わずこぶしを握り、傷病兵を励ます場面では、こちらも励ましの言葉が涙とともに口をつきそうになるほどだった。戦争が愚行であり撲滅すべき人間の宿痾であることは言をまたない。しかし、かつてそこには、紛れもなく人間の真実が在った。本書はそれを、一軍医の眼を通して、現在の明るみへともたらし、切々と訴えている。来るべき未来のために、人間として肝に銘ずべき一冊であると言っても過言ではないと思う。但し、この実録が、旧日本軍において、一定以上の地位に在った人のものであることには、留意する必要があるだろう。
読者を退屈させないストーリーの流れ
南方作戦の最前線にいた軍医大尉の著書なので誇張した部分もあるのだろうが読者は退屈せず一気に終わりまで読めると思う。彼の上司の軍医大佐が『貴様、何をぐずぐずしていたんだ?労務者の一人や二人死んでも構わん。医局員はもっとやることがあるんだ!』と彼を叱責する場面は他の偉い将軍達の伝記には見られない現場の人を人とも思わない指揮官がちゃんと存在したことを後世に伝えています。この軍医大佐は陸軍でしたが海軍とてジェントルマンじゃなかったんだろうな。 戦争は普通の状態では隠された人間の素顔を見せつけてくれるのでしょう。 もうひとつ。この本にはニューギニアの詳細マップが絶対必要です。巻末に附けて欲しい。
光人社
地獄の戦場 ニューギニア戦記―山岳密林に消えた悲運の軍団 (光人社NF文庫) 7%の運命―東部ニューギニア戦線 密林からの生還 (光人社NF文庫) 軍医戦記―生と死のニューギニア戦 (光人社NF文庫) 私は魔境に生きた―終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年 (光人社NF文庫) 最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記 (光人社NF文庫)
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