現場の開発者にこそお勧め
メーカーの開発現場で働いている方にこそこの本を読むことをお勧めしたい。設計機能部門にあっていくつもの製品プロジェクトの設計を同時に担当している方(私も正にそれ)には特にお勧めである。人はその真っ只中にいるとむしろ自分の置かれている状況が良く分からないもの。新しい製品の設計開発が切れ目なく重なり合って延々と続いていく最近の状況に辟易として「いったいどうなっているのか?」と愚痴をこぼしたくもなるもの。この本を理解すると、自分が今手がけているこの製品とあの製品、昨年のあの製品、来期予定のあの製品... これらがどのような考え方(戦略)で関連していて、各々どうしてその手法で開発するのか...霧が晴れて周りの世界が見えてくる。そこにあるのは目から鱗の戦略か?それとも戦略の欠如か。自分がマトリクス組織の軋轢に苦しむ現場の開発者だと思う人、手にとって見て下さい。
製品開発はマネジメント可能である
1990年代になって初めて製品開発は、マネジメントの対象となりえた、という人がいるぐらい製品開発は経営活動で不思議な内容だった。えてしてそれは、クリエイティビティ豊かな研究者のひらめきの賜物であったり、市場での成果で言えば運や勢いのあるタレントのおかげであったりした。だから、どんな風にマネジメントするのかといえば、それはできる限り研究・開発者の自由にやらせよう、というぐらいに方法はなかった。90年以前の研究は、それらの開発グループの内部でのコミュニケーションはどんなフローになっているだとか、どんな要因が成功した開発プロジェクトの特徴なのかを説明することが中心だった。本書は、そこにおそらく初めて投入された本格的な製品開発の研究書である。1990年代に入ってアメリカの経営学者たち(筆者もそこに含まれる)が発見したのは、開発速度が極めて速いことと、複数の開発プロジェクトの適切な管理であった。本書の発見は、後者であるが、それを開発プロジェクトに蓄積される技術知識の展開パターンで説明する。その展開パターンはいくつかあって、その違いが成果となって現れるのである。製品開発にもマネジメントが必要であり、そしてその巧拙で競争力の差となるのだ、ということをわからせてくれる好著だ。図表も豊富でしかも、その図がとても上手でわかりやすいことにも感心するだろう。
有斐閣
分業と競争―競争優位のアウトソーシング・マネジメント 成功する製品開発―産業間比較の視点 生産システムの進化論―トヨタ自動車にみる組織能力と創発プロセス デザイン・ルール―モジュール化パワー ビジネス・アーキテクチャ―製品・組織・プロセスの戦略的設計
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