ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている



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考え直さなければいけないかな

この本の内容を一言でいうと
巷では、TVゲーム、テレビ、インターネット、映画の悪影響が喧伝されているが、これらは複雑だったり、文章を読み書きしたりで、実は頭によいのかもしれない。最近のIQテストでも平均点が向上しているのは、これらのメディアの効果もあるのではないか。いたずらな悪影響の喧伝はやめて、その長所をもっと直視すべきだ。
評価
私自身は、インターネット以外はあまり親しんでいないが(テレビや映画はドラマとする)、叙述は割合説得的だと思う(なお、インターネットに関しては同意)。また、読書の大切さなども論じているので、バランスよく仕上がっている。ただ、TVゲームなどの否定論者に対しての反論としては弱い(表現やデータ)のが物足りないので、星1つ減らして、星4つ。
その他
『コンピュータが子供の心を変える』(ジェーン・M. ハーリー、大修館書店)、『脳内汚染』(岡田尊司、文藝春秋)、『ラジオは脳に効く』(板倉徹、東洋経済新報社)といったところのレビューで、私は、本書で取り上げられたメディアについての否定的な言説にいったんは納得したが、これを読んだ後では、それを考え直さなければならないかな、と思っている。
読書とゲームの比較が秀逸

P26からP27でこの本が述べている、読書と他のメディアとの比較が秀逸でした。ゲームその他、新しいメディアは確かに、新しいというだけで、不当な扱いを受けている面は否めないからです。ゲーム脳の恐怖もありますが、質の悪い本を読むのなら、質のいいゲームをした方が、脳にはいいかもしれません。問題は、なかなかその質がいいゲームが少ない、ということかもしれませんが。訳がややこなれていないため、日本語が読みにくく、原書を読みたいと思いました。
「面と向かって相手を理解する」ことの正当性

 これまで正面からの議論がなされず、はなから悪者扱いだった
「ゲーム・テレビ・インターネット等」の効用を、
説得力のある(しかも面白い)データ解釈で示した本です。

 本書のおもな主張は、この手の議論にありがちな
倫理や芸術性などからはひとまず距離を置いて、
テレビ番組やゲームソフトを楽しんでいるときの思考の仕方や、
ゲームやネット環境が普及する前後でのIQ(知能指数)の変遷
といった角度から、これらのメディアを詳しく検討した結果
「脳にとってはテレビを見たりゲームをすることが、
読書などとは違った能力を鍛えることになる」というものです。
だから「読書やスポーツも確かによい面はあるけれど、
ゲームをすることで特に鍛えられる能力もあるんだから、
バランスよく楽しむことが大事」というわけです。

 ここで考えたいのは、
「『本ばかり読んでないで、ゲームもしなさい』というのが実は脳のためになる」
という本書の主張は、
食物でいうところの『お菓子や肉類ばかり食べてないで、野菜も食べなさい』
という主張と同じで、特に奇異なものでは無いということです。
同じ例えを用いるなら、いわゆる「ゲーム有害論」は
『肉や菓子類は高タンパク高カロリーで体によいが、
野菜に含まれる食物繊維は体内でほとんど消化吸収されず、
野菜ばかり食べていたらやせ細ってしまう』
と言っているのと同様であり、全くナンセンスな主張であるように思われます。
どちらを信じるのも読者の自由ですが、説得力があるのは明らかに本書の方です。
…もちろん肉にも野菜にも「腐ったもの」だってあるわけですが。
ゲーマーの楽しみと、手作り野球ゲームの愉楽は別モノ

 「どんな時代でも新しいメディアは、どんなものであってもそれ以前のメディアパターンを習得した者たちによって、まがいものとして分類される」っていうマクルーハンの引用文がすべてだね。ゲームやインターネットっていう新しいメディアを本や映画といった旧来メディアの基準で語るな、と。それぞれにいいとこあるじゃん、と。まぁPTA的なゲーム有害論に見られるように、新しいメディアを「善悪」って軸で捉えることがおかしいよね。
  只、僕はゲームを過大評価もしない。結局ここで語られている、ゲーム、テレビ、インターネットの新しい潮流についての見解って、「今の世の中、情報処理能力が求められてますよー」ってことだよね。膨大な情報の中から必要なものを探し出すデータマイニング的な能力、直線的→並列的→相関的...って発達してきた情報の流れを総括的に捉える能力...「ゲーム」をやることは現代社会を生きていく上で必要なリテラシーを身に付けるのに役立つんじゃないですか、っていう。昔の社会のメタファーは「本」だったけど、今様の社会は「ゲーム」ですよー、っていう。この本での「ゲーム」擁護論は、「善悪」軸に対して、「役に立つ、ためになる」って軸を提示している。でも、「面白いか、つまんないか」って軸で語った時、少なくとも僕は、今のゲーム、そんなに面白くないと思う。結局、人の手のひらってのもあるけど、インセンティヴの与え方にしろ、“ひたすら満足が先送りされる”構造にしろ、人生に比べてあまりに分かり易過ぎる!まだまだ深みが足りないよね。まぁ、その分かり易さが麻薬な訳だけど。
  例えば、冒頭の、手作り野球ゲームのエピソード、あれは僕にも経験あるけど、すっごく面白いものだと思うわけ。自分で工夫して創りあげていく過程が面白いんだよね。ゲーマーの楽しみと、手作り野球ゲームの愉楽って、全然別モンだと思うけどな。
新しいゲーム擁護論!

今までのメディア擁護論は、ゲーム脳や脳内汚染といったとんでも話、マスコミ等で垂れ流される世迷言の類を否定するといった消極的、いわば受身のものばかりであった。しかし、当書の主張は逆です。スリーバー曲線という概念を提唱し、ゲームやドラマの複雑化(操作方法、また物語それ自体も)が、頭を良くしていると積極的にプラス効果の存在を示唆するものである。そして、IQテストの平均の上昇などのデータという裏づけがあるところが、否定論のとんでもぶりと一線を画することにも成功している。

日本の場合、アメリカのドラマの複雑化といった話はピンとこないかもしれないが、脳トレなどの携帯ゲームが大ヒットしゲーム界の図を一変させたことを思うと、より明らかにスリーパー曲線の妥当性を図る条件が揃っていると思うのだが…日本のゲーム業界の奮起を祈りたいところ。



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